ワーホリ保険の選び方 — 働く前に確認したい補償内容と Workers' Compensation の関係
ワーホリ保険は治療費・賠償責任・携行品などを補償するもの。AU で働くなら、仕事中のけがは雇用主の Workers' Compensation の対象になりうることも押さえて、補償内容を選びましょう。
ワーホリの保険は「病気やけがの治療費」「持ち物の盗難」「賠償責任」などを補償するもので、オーストラリアで働く予定があるなら、仕事中のけがは雇用主側の Workers' Compensation (労災補償) の対象になりうることも合わせて知っておくと、補償内容を選びやすくなります。この記事では、特定の保険商品をすすめるのではなく、働く前に確認しておきたい補償の考え方を整理します。
まず前提: 日本の保険証は AU では使えない
オーストラリアには Medicare という公的な医療保険制度がありますが、これは主に永住者や市民のための制度です。一部の国とは相互協定 (Reciprocal Health Care Agreement) があり、短期滞在者も一部の治療を受けられますが、日本はこの協定の対象国に入っていません (2026 年 10 月時点)。最新の対象国は Services Australia で確認してください。
つまりワーホリで来豪した日本人が病院にかかると、基本的には全額自己負担です。ビザと保険の関係 (加入が条件になっているか、どの程度の補償が推奨されているか) は、ビザの種類や時期で変わることがあるので、Department of Home Affairs の公式情報で確認してください。
補償内容は「働く場面」から逆算する
保険のパンフレットには補償項目がたくさん並んでいますが、仕事探しをする人は次の観点で読むと優先順位がつけやすくなります。
1. 病気・けがの治療費
一番基本になる項目です。仕事中かどうかに関係なく、風邪や歯の痛み、休日のけがなど、生活の中で起きるものはこちらでカバーします。確認したいのは次の点です。
- 治療費の上限額と、上限が「1 回ごと」か「期間全体」か
- 歯科治療が含まれるか (含まれないことが多い)
- 持病や既往症が対象外になっていないか
- 救急車の費用が含まれるか (州によっては高額になることがある)
2. 賠償責任
カフェでお客さんの服にコーヒーをこぼした、シェアハウスの設備を壊した、といった「他人に損害を与えた」場面の補償です。Hospitality や Cleaning など、人や物に触れる仕事をする人ほど確認しておきたい項目です。ただし仕事中の事故は、まず雇用主の保険で対応するのが一般的なので、個人の保険で何がカバーされ、何が対象外かを約款で確認しておきます。
3. 携行品・盗難
スマホやノート PC は、仕事探しの必需品です。応募メールを送る、Seek を見る、シフトの連絡を受ける、すべてスマホが前提になります。盗難・破損の補償があるか、1 品あたりの上限はいくらかを見ておきましょう。
Workers' Compensation とは
Workers' Compensation は、仕事中や通勤途中の事故・けがについて、治療費や休業中の収入の一部を補償する仕組みです。州・準州ごとに制度があり、雇用主は原則として従業員のために保険に加入する必要があります。制度の全体像は Safe Work Australia にまとまっています。
ポイントは次の 3 つです。
- Casual でも対象になりうる: ワーホリに多い Casual や Part-time でも、雇用されて働いていれば対象になるのが一般的です
- ABN で Contractor として働く場合は注意: 雇用ではなく業務委託の扱いになると、Workers' Compensation の対象外になることがあります。ABN を取って Contractor として働く場合 は、自分で保険を考える必要があるかを契約前に確認しましょう
- けがをしたらすぐ雇用主に報告する: 報告が遅れると手続きが難しくなることがあります。いつ・どこで・何をしていたかをメモし、医師の診断書も保管しておきます
「キャッシュ払いで雇用契約がない」「Payslip が出ない」といった働き方では、そもそも雇用の記録が残らず、けがをしたときに補償を受けにくくなります。最低賃金や Payslip など、働く人の基本的な権利は Fair Work で守られる働く人の権利 でまとめているので、仕事を始める前に一度目を通しておくと安心です。
業種別: 特に確認しておきたいこと
| 業種 | けがの例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| Hospitality | やけど、包丁での切り傷、転倒 | 雇用契約があるか、Payslip が出るか |
| Farm | 腰痛、熱中症、機械での事故 | 雇用か請負 (Piece rate・ABN) か |
| Construction | 落下物、転落 | White Card を持っているか、現場の安全講習 |
| Cleaning | 薬品による肌荒れ、転倒 | ABN での業務委託になっていないか |
建設現場で働く予定の人は、安全講習の修了証である White Card が必要です。取得の流れは Construction 向けレジュメと White Card 取得ガイド で紹介しています。
出発前のチェックリスト
- 加入する保険の補償項目と上限額を確認した
- 歯科・既往症・救急車が対象かを確認した
- ビザと保険の関係を Home Affairs の公式情報で確認した
- 証券番号と緊急連絡先をスマホと紙の両方に控えた
- 仕事中のけがは雇用主の Workers' Compensation が先、という順番を理解した
保険は「何に入るか」より「どの場面で何が使えるか」を理解しておくことが大切です。補償の仕組みを押さえたら、次は仕事探しの準備です。ワーホリレジュメなら、日本語で入力した職歴を AU 標準の英文レジュメに整えられるので、出発前に下書きを作っておきましょう。
※ 保険や制度の内容は変わることがあります。最新の情報は各公式サイトと保険会社の約款で確認してください。